革靴のお手入れでは、いろいろな場面で様々なブラシを使います。
例えば、革靴についたゴミを払い落とすブラシ、クリームを塗るブラシ、仕上げにツヤを出すブラシなどです。
ただ、ブラシと言っても素材となる「毛」の種類や固さ・形状などにも違いがありますので、どんな場面でどのブラシをどうやって使うのが正しいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
今回は、革靴のお手入れとして「靴磨き」に使うブラシの種類と使い分け方について解説します。
靴磨き用ブラシは、4種類を準備
革靴のお手入れとして「靴磨き用」には、以下の 4 種類のブラシを準備しましょう。
①ホコリを落とすための「馬毛ブラシ」
②クリームを塗るための「ペネトレィトブラシ」
③クリームを伸ばすための「豚毛ブラシ」
④仕上げにツヤを出すための「山羊毛ブラシ」
革靴の手入れや靴磨きの手順は、次のとおりです。
①ホコリを落とす → ② クリームを塗る → ③ クリームを伸ばす → ④ ツヤを出す
それぞれの工程で使うブラシの目的が異なるため、毛の種類や持ち手の形状に違いがあります。できれば、それぞれの用途に合わせた「専用のブラシ」を準備しましょう。
靴磨き用のブラシの使い方
それぞれのブラシの使い方について解説します。
①ホコリを落とすための「馬毛ブラシ」
4 種類のブラシの中で一番良く使う大切なブラシです。
馬毛ブラシは、靴全体のチリやホコリなどの汚れをはらい落とすのに最も適したブラシです。
名前の通り馬の毛で作られたブラシで、馬の毛は、固すぎず柔らかすぎず、ほど良いしなやかさがあるので、ホウキのようにパッパと汚れを除去することができます。
なお、革靴に付着したチリやホコリをそのままにしておくと、革の水分や油分が奪われ乾燥の原因になります。靴を美しく長持ちさせるためには、帰宅後馬毛ブラシで軽くブラッシングしておきましょう。
②クリームを塗るための「ペネトレィトブラシ」
靴にクリームを塗るために使用する小さなブラシです。
「ペネトレィト」とは『浸透する』という意味があり、手を汚さず靴全体に満遍なくクリームを塗ることができる便利なブラシです。
布や指を使ってクリームを塗ることもできますが、ペネトレィトブラシを使えば、コバ(アウトソールとアッパーの境目)やメダリオン(小さな穴の装飾)など、布や指では塗りにくい細かい部分にもしっかりクリームを塗ることができます。
必ず必要というアイテムではありませんが、ひとつ持っておくととても重宝します。
③クリームを伸ばすための「豚毛ブラシ」
靴に塗ったクリームを伸ばし(馴染ませ)て、ツヤを出すためのブラシです。
「革に栄養分を与える」、「ツヤを出す」。この二つを満たすのに豚毛ブラシが適しているのは、毛の「密度」と「硬さ」です。
豚毛ブラシを使って、ガシガシと高速でブラッシングするので、大きすぎるとコントロールが難しくなりますし、硬すぎると傷つけてしまいます。小さすぎたり、柔らかすぎると物足りないということにもなりかねません。
また、豚毛ブラシは、クリームの色がわかりやすいように白い毛を使っているモノが多いです。これは、クリームを塗り、使うたび毛先にクリームが蓄積するからです。
毛先に蓄積したクリームが色移りしてしまうことを防ぐため、多少の手間でも「クリームの色」や「革靴の色」でブラシを分けて使用することをおすすめします。
④仕上げにツヤを出すための「山羊毛ブラシ」
仕上げにツヤ出しするためのブラシです。
山羊毛ブラシが他の種類と違うのは、毛の「柔らかさ」です。
山羊の毛は、馬毛や豚毛に比べて格段に細く、柔らかいのが特徴です。
これによりソフトなタッチでブラッシングが可能になり、ぴかぴかに輝いた鏡面にブラシ跡が付くことを防ぎます。
ワックスの層を塗り重ねて、ピカピカに光らせた鏡面磨きの状態でブラッシングすることで、鏡面磨きをうまく仕上げることができます。
靴磨き用ブラシのメンテナンスについて
靴磨き用のブラシは、他の道具と一緒で使い込むにつれて愛着が出てくるものです。
長く使い続けるためには、定期的にメンテナンスしましょう。
クリームがついて毛先が固まってきたとき
ペネトレィトブラシは、使うたびにクリームを付けますので、そのまま放置しておくとクリームで毛先が固まってしまいます。
毛先が固まってしまうと次に使う際にクリームが塗りづらいので、毛先について固まったクリームは水洗いし、余分な水分をとってから陰干しするようにしましょう。
そのほか「仕上げ用」のブラシについては、使えば使うほど毛先にクリームが馴染み、ブラッシングだけでツヤが出るようになりますので、水洗いは控えましょう。
毛先が飛び出てきたとき
ブラシを使い続けていると毛先が一部出てくることがあります。
毛先が出てきてもブラッシングに影響はないので、そのまま使用しても問題はありません。
しかし、見栄えが悪くて気になるという方は、抜かずに飛び出た毛先をハサミでカットしましょう。
まとめ
革靴のお手入れとして「靴磨き用」ブラシには、その用途に合わせて以下の4種類のブラシを準備しましょう。
①ホコリを落とすための「馬毛ブラシ」
②クリームを塗るための「ペネトレィトブラシ」
③クリームを伸ばすための「豚毛ブラシ」
④仕上げにツヤを出すための「山羊毛ブラシ」
一度に4種類全てのブラシを揃える必要はありませんが、1本ずつ買い足して揃えることができれば、革靴のお手入れが楽しみになるはずです。
また、靴磨き用のブラシも使い込むにつれて、あなたの手にも馴染んで来ますので、お気に入りのブラシに育ててみてください。