靴磨きの適切な頻度を知っていますか?
お手入れを怠ってしまう方がいる一方で、革靴を大切に扱うあまり、靴磨きをやり過ぎる方もおられます。
靴磨きの目的を理解したうえで、革靴にとって理想的なお手入れをすることが大切です。
今回は、適切なタイミングや、気をつけたいこと、普段のお手入れ方法を解説します。
そもそも「靴磨き」とは具体的にどういうものか
靴磨きは、汚れを落として、革に栄養を補い、艶やかに仕上げるフルメンテナンス作業のこと。
以下のような流れで行います。
①靴の中にシューキーパーを入れて形を整える。
②革についたチリやホコリを馬毛ブラシで落とす。
③付着した汚れや靴に残った古い靴クリーム・ワックスを靴クリーナーで落とす。
④革に栄養を与えて、乾燥を防ぐために、靴クリームをクロスを使って磨く。
⑤艶を出し、革靴の表面を保護するために、ワックスを塗って仕上げる。
靴磨きは、見た目をきれいにするだけではなく、革靴のコンディションを保ち、長持ちさせるための作業です。
革には、牛や豚、馬、山羊、爬虫類などさまざまな種類がありますが、基本的な流れは変わりません。
靴クリーム・ワックスは、革の種類によって使い分けると効果的です。
やり過ぎにも注意!靴磨きの適切なタイミング
靴磨きを長らく怠っていると、履きじわが乾燥によってひび割れを起こしたり、くたっとしてくたびれた印象になったりするものです。
一方、靴磨きのやり過ぎにも気をつける必要があります。
1つ目の理由は、靴クリーナー(先ほどの流れの③)を頻繁に使用することで、必要以上に摩擦することとなり、革に負荷を与えてしまうこと。
2つ目の理由は、ワックスで使われるロウの成分(先ほどの流れの⑤)が蓄積してしまい、革が固くなってしまう場合があるため、革に負担がかかります。
ゴワゴワした風合いになってしまうこともあるのです。
こうした理由から、靴磨きの適切なタイミングは「艶がなくなってきて乾燥してきたとき」といえるでしょう。
〈補足〉
ちなみに靴磨きは月に一回ペースですると良いと聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。
これは、一日10時間履くと想定して、3足をローテーションする場合に、月に10回くらい履くことになるためなどと言われています。
ただ、靴を履くペースや、気候、保管環境によって、革靴のコンディションは左右しますので、月に一回ペースが良いとは限りません。
状況によっては、半年に一回ペースでも問題ないでしょう。
重要なのは履いたあとのケア。日頃のお手入れ方法を紹介
靴磨きの適切なタイミングを解説しましたが、実は履いたあとのお手入れを習慣化するだけでも、靴磨きをする頻度を少なくすることができます。
革靴にとって良い環境を作れますので、次のことをぜひ心がけてみてください。
・シューキーパーを使用する
革靴を一日履いたあとは、体温や汗などの影響で革が柔らかくなっています。
そのまま放置しておくと、履きじわがついたまま固まってしまい、後にひび割れの原因となります。
長時間履いて柔らかくなった革靴は、きれいな形を保ったまま元の硬さに戻すことが大切です。
履いたあとは、必ずシューキーパーを入れておきましょう。
・ブラッシングをする
履いたあとの革靴には細かいチリやホコリがついています。
革靴を履く度に馬毛ブラシなどの柔らかいブラシを使ってブラッシングしましょう。
馬毛ブラシを使い続けるとブラシに靴クリームが残るため、日々のブラッシングを通して適度な油分を与えることができます。
細かい汚れを溜めないだけでなく革のコンディションを保てるため、習慣化することをおすすめします。
・〈重要〉保管する環境に気を配る
ビジネスシーンでのみ革靴を履く方の場合、大型連休などで革靴を履かない期間もあるでしょう。
革は湿気に弱く、カビが発生する危険性があります。
靴箱に入れて保管する場合には、十分に乾燥させてから収納し、除湿剤を入れておくことをおすすめします。
また、長期間保管する際は天気の良い日に陰干しをするなど、定期的にコンデイションに気を配ることが大切です。
まとめ
今回は革靴の靴磨きの頻度は、月に1回といったようなルールに従う必要はありません。
革靴の種類や、履くペースが人それぞれであることはもちろん、日頃からお手入れができているかや、保管する環境などによっても、革靴のコンディションは変わるからです。
靴磨きとは、汚れを落として、革に栄養を与え、艶やかに仕上げるフルメンテナンスのこと。
この一連の作業をするのは、革が乾燥してきたタイミングで十分です。
革靴を履くたびに革の状態をチェックしておくと、変化に気づけるでしょう。
重要なのは、日頃のお手入れといえます。
シューキーパーを使用することとブラッシングすることを習慣化することで、普段からひび割れを防止でき、適度な油分を与えることができます。
慣れるまでは面倒と感じるかもしれませんが、革靴を長く大切に履くために続けてみてください。